一般的な胸縄において、一番最初に覚えるのが手首の縛り方です。
※手首は筋肉も脂肪も薄く、神経節や大きな血管がむき出しに近い状態であるため、少しの圧迫でいとも簡単に麻痺を起こしてしまう、とても危険な部位です。ですから、ここを最初にしっかりと教わるんですね。
ですが、これが中々簡単では無い。
「早く体を縛ってハフンハフン言わせたいのに、手首の縛りを覚えるだけでこれだけの時間が掛かってるんじゃ、私には無理かも……」と、断念させるには十分なほどにハードルの高い部分です。
私は、「せっかく緊縛に興味を持ったのに、そんなことで断念するのは非常に勿体ない」と思う反面、
「そのくらいの覚悟も持たない者が縄を持つべきではない」という理屈も理解出来る訳です。
ですが、結果、誰かに習うことを諦め、自己流で事故を起こす危険を考えれば、もう少しシンプルなものを提唱していくべきではないかとも思っています。
で、答えとしては簡単。
手首なんてものは、二つ折りにした縄を2周巻いて、指2~3本分の隙間を空けて、4本の縄のテンションを揃え、全部を一纏めにしてから、適当に団子結びを3回(2回ではだめ)
しっかりとすれば、いくら引っ張っても締まっちゃうことなどまずありません。
適当に、ご自身の足首なんかで試してみてください。
ほら、簡単でしょ?
だけど、これでは結び目が大きく雑な感じになって美しくない。
で、色んな
「結び」というものがあるんですが……
今、巷で一番多く見られるのが、いわゆる
『本結び』というヤツ(分からない人はお母さんに(以下略))
本結びの優れているところは、
「こっちに引っ張ったら締まって、あっちに引っ張ると緩む」など
結びのメカニズムをを理解出来ることではないかと思っています。
ですが、これがなかなかにややこしい。
私など、未だに覚えていません(笑)
そして、
本結びの最大の弱点。
これは長所のところにある「あっちに引っ張ったら緩む」という部分。
解く時は、コレのお陰で一発で解けるんですが、解こうと思っていない時に緩んでしまうことがある。
するとどうなるのか、緩んだ
本結びは、次に引っ張られた時、いとも簡単に締まってしまうのです。
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これらの特性をしっかりと理解して使っている方は問題ないのですが、これを完全に理解せずに使うと結構危険なことがある。
特に、手首以外の部分の応用。
吊りにおいて、太股に縄を掛け、天井のカラビナを介して戻って来た縄。
これを本結びでやってしまっていると、どうしても縄頭でカウンターを取ってあげないと危険。
だが、縄頭でカウンターを取るということは、その部分は1本の縄の強度しかないということ。
※太股などなら、万が一落ちたとしても大事にはならないであろうが、これを一番重心の掛かる背中や腰でも行われているのが現状。
鞣した麻縄の強度を画一的に測ることは不可能であるが、少なくとも、安全強度という観点から見れば、明らかに強度不足と言わざるを得ない。
特に、傷み易い縄頭の強度など、推して知るべしだと思うのだが。
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で、本題に戻るのだが、「
巴結び」と言われる結びがある。
私はこれを10年近く使っているのだが、未だ問題らしい問題には面した記憶がない。
簡単に覚えられて、しっかりと結べば、どちらに引っ張っても緩むことはないのに、解く時は一発で解ける、とても便利な結びだと思っています。
以下はその手順
手首の場合、縄は下から上に向けて入れる(方が覚えやすいです)
重ならないように、捻れないように注意しながら2周させる
※ここ大事手首と縄の間に自分の指を入れ、指2~3本分以上の隙間を作り、
その際、4本の縄のテンションを揃える
上図で下に垂れていた縄を上に持ち上げ折り返す
上図で左端にあった縄頭を使い、全ての縄を上から巻いて纏める
(
大きな輪の中に6本の縄が入っていれば正解)
右上に出来たループに縄頭を通す
縄尻側を引き、ループを締める
※重要縄が捩れて重なっていたりしないか確認し、
赤く塗った部分を矢印の方向に押しながら、
縄頭、縄尻、双方をもう一度引っ張り、きつく締める
※また、この間、手首と縄との間に、ずっと左手の指が入ったままで、内側から外側に向けて圧を掛け続けていることにも注目してください。
このことによって、一度揃えたテンションを保ち続けることが出来、また、5枚目や6枚目の画像のように、途中で右手を離しても、結びが途中でバラけてしまうことも防げるのです。完成
※解く時は、一つ上の画像の赤く塗った部分を矢印とは逆の方向に戻せば簡単に解けます※縄が縒れていないか、重なっていないかというのはとても重要です。見た目の問題ではなく、結びや留めというのは、縄で縄を押さえて摩擦で留めるため、本来“面”で押さえるところが、捩れていると“線”になってしまい、摩擦面の面積が減るため、本来の強度を保てない故です。
ここからは、いよいよ胸縄に入り、思う存分、ハフンハフンさせてあげてください(笑)
是非、お試しあれ。