今回は少しだけ技術的なお話
ウチの中級者向け講習会にて希望者にお配りしたテキストなんですが
留め・掛け・結びについて
(あくまで中級者以上の方向けなので初心者さんには難しいかもしれませんが、理解されていて損はありません)一言で緊縛の技術といっても、いくつもの細かい技術に分かれていて、それら全てを合わせて緊縛の技術と呼ぶことが多いです。
そして、その中でも基本になってくるのがこの3つ。
これらの違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットなども理解した上で縛ると、明らかに上達が早い上に、縛りの楽しさ、奥深さの一端が垣間見れると思っています。
【結び】結びとは、基本的にテンションの掛かっていない状態でも解けたり緩んだりしないものを指し、後手を始めほとんどの縛りのスタートに手首、足首、胴回りの始点として使われることが多いため、最初にして最大の難関と感じる方が多いはず。
「本結び」最も代表的なものとしては、多くのプロ縄師が採用している、みなさんご存じ「本結び」
これは、結び目が漢数字の「六」のような形に見えるのが特徴で、ある方向に引っ張った場合は締まりも緩みもしないが、反対方向に引っ張ると簡単に緩みます。
メリット解きやすい。
次に縄が行く方向が決められてしまうので、結びや留めを理解するのに役立つ。
デメリットメリットの部分で触れた、引っ張る方向が決められてしまうということで、真上にテンションを掛ける吊縄などに使用する場合、
天井から戻ってきた吊縄を縄頭のループに戻したり、
※これ(私は「カウンターを取る」という言い方をしています)をすることによる最大のデメリットは縄頭の摩耗。
こういった安全装置を施す必要がある。
※例外として、こういう方法もあるが、多少面倒なため、使用している方はめったに見ません。「巴結び」私が採用しているのはこちらの巴結び。
見た目としては結び目が「三つ巴」になっているのが特徴で、引っ張る方向を選びません。
メリット引く方向を選ばないということはカウンターを取る必要がなく、縄頭を痛めにくい。
デメリット特にデメリットは思い浮かばないのですが、最初に本結びを覚える方が多いので違和感を感じるかもしれません。
あと、カウンターを取る必要がないと言っても、それは正確に結べていれば…の話。
捻じれていたりした場合は上手く留まらないので、適当にやると事故などに繋がる可能性もあります(どの結びでも同じですが)。
その他にも
「丸結び」や
「もやい結び」など色々あるので、何を採用するにしても、それぞれの特徴を知った上で選択されると楽しいですよ。
【留め】留めとは、常に一定以上のテンションが掛かり続けることを前提として成立する、緩んだり滑ったりしない(しにくい)もの。
これは緊縛においてとても重要なので、是非ご理解されることをお勧めします。
「留めの種類」
代表的なものとしては
「のの字留め」 その他、
「ねじり留め」(
画像では「のの字留めとの違いが分からないですね)や
箱留め(丸留め・ボックスなどとも呼ぶ)など。
※他にも、特に名前もないような様々な留めがあります。
留めの基本を理解する上で最も適しているものとして
「のの字留め」があります。
これは、この縄に対して、
こうして
こう掛けていく訳ですが、次に縄が行く方向が決まっています。
こちら(左下)には行けますが
こちら(右下)には行けません。
上の写真でご理解いただけると思うのですが、下の写真では留めが開いてしまっています。
これでは十分な摩擦を得られず留まりません。
留まっていない留めはただの掛け(後述)と変わらず、誰かの縛りを見たり、画像を真似て縛ろうとした場合、オリジナルでは想定していない、滑って欲しくないところまで滑ってしまうことで、崩れや、時には事故の原因の一つにまでなったりもします。
※余談ですが、上記のように、次に縄が行く方向を意識するということが、「本結び」が優れていると言われる理由の一つです。で、具体的にどうするかというと
このように縄を掛けたい場合、
この横の縄に対して上から縄を掛け、次に行きたい方向に縄を抜き、そこから自然に留めていくと自然に、閉じた美しい留めになります。
※これも余談ですが、留めの場合、縄は捩じりながら留めていく方が、より摩擦を稼ぐことが出来て留まりやすいとされていますが、コブが痛いとか、飾り的な意味合いなどの理由から敢えて捩じらず少しでも平らに留める方法もあります(写真)(捩じった留めほど、留まりませんが)。
また、このように最初に下から縄を潜らせた場合、
このようにひっくり返ったカタチになります
これも、留めの機能としては問題ありませんが、基本的に、縄(の見た目)は、下から入って下から出てるように見えるもの(縄の入り所、出所が見えないもの)が美しいとされています(機能重視で敢えて例外も沢山あります)。
留めを上手く留めるコツとしては、
指で縄を撫ぜる(擦る)ようにして緩みを取る
「送り」や
テコの原理を応用しながら緩みを取る
「捩じり(ひねり)」などがありますが、画像では大変分かり辛いので、お母さん、もしくはお近くの縄師さんにでも聞いてみてください。
(↑聞けたらこんな文章読んでませんね。知ってます) 要は緩みを作らず(緩みを作ってしまうと一定のテンションを掛け続けることが出来ず、留めが留めとして機能しなくなる)、
このように一定のテンションをかけ続けることが目的です。
【掛け】掛けとは、上記「留め」や「結び」などと違って、ただ縄と縄が掛かっているだけのもの全てを指す。
(掛け一例)
ある一定以上のテンションが掛かった場合、留めや結びと違って滑ることが特徴で、敢えて滑らせることによって、どこか一点に加重が掛かかり過ぎてしまうことを防ぐ目的でも使われます。
※この部分は大変長くなりそうので、パート2で考えています。「掛け」と「留め」の違いを理解し、どちらを選択するかの決断をするのは、縛りの楽しみの一つだと思っています。
※上記「片結び」(写真下2点)などは、「結び」と言っていますが、ただ引っ掛けているだけで、結びどころか留めですら無くただの「掛け」です。
※画像、上から掛け、掛け、留めつまり、結びでも留めでもないものは全て掛けです。
ここまでご紹介してきたものの他にも、数限りない種類の結び、留め、掛けがあります。
それぞれの特徴を把握し、目的をはっきりとさせ、適材適所を意識すれば、縛りの技術を深く広く知ることが出来、益々充実した縛りを楽しむことが出来ることでしょう。
それでは皆さん、楽しい緊縛ライフを